IFAとして独立するには?成功する3つの秘訣と失敗する3つのパターンを解説
IFAは儲かるのか?売上の実態調査もご紹介
IFAとは「Independent Financial Advisor」の略称で、「独立系ファイナンシャルアドバイザー」と呼ばれています。証券会社、銀行や保険会社に所属せず、顧客資産の状況分析や金融商品に関する説明など、資産運用に関するアドバイスを提供する専門家を指します。
IFAは取扱商品に制限がなく、自由に商品提案ができるため、その点を魅力に感じ、IFAとしての独立を考えている人もいるかもしれません。今回はIFAとして独立するにはどうすればいいか、成功の秘訣と失敗するパターンについても解説していきます。
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IFAとして独立する2つの方法
IFAとして独立するには、どのような方法があるのでしょうか。ここではIFAとして独立するための2つの方法について見ていきます。
独立する方法①金融商品仲介業を開業する
まず1つ目の方法は、金融商品仲介業として開業することです。IFAは個人として活動することもできますが、証券会社でもある金融商品取引業者は法人と業務提携をし、委託することが多いため、金融商品仲介業を設立するならば、法人設立を行うことが多いようです。
法人設立した後は、金融商品取引業者を決め、面談を行い審査を受けます。審査に合格した場合は、その金融商品取引業者と金融商品仲介業業務委託基本契約を締結します。締結後に金融商品仲介業者を通じ、財務局へ金融商品仲介業登録申請を行います。
申請が通れば、ようやく金融商品仲介業者として活動ができる準備ができたことになります。
ただ、IFAとして活動するためには証券会社を通じて外務員登録を行わなくてはなりません。手続きにかかる期間は、申請内容や申請状況によっても異なりますが、半年から1年以上かかる場合もあるようです。
独立する方法②IFA法人と業務委託契約
2つ目の方法は、ご自身でIFA法人と業務委託契約を結ぶことです。金融商品仲介業者を決め、業務委託契約を結びます。その後、証券会社を通じて外務員登録を行うという流れです。
自身で金融商品仲介業を設立する場合と比較し、手続きなどに時間がかからず、活動開始までがスムーズなので、IFAでの独立を考える人のうち多くの人が選択する手段だと言えます。
- IFAとして仕事をする場合
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IFAとして仕事をする場合、自身で金融商品仲介業を設立するか、業務委託としてIFA法人と契約するか、どちらかしかないと考えている方が多いようです。
しかし、独立にこだわらないのであれば、IFAとして仕事をする場合、正社員や契約社員としてIFA法人で働く方法もあります。
IFAになるために必要な経歴は?
IFAとして独立するために必要な経歴はあるのでしょうか。ここでは、経歴や資格について見ていきましょう。
証券会社の勤務経験や実務経験は必要?
IFAになるためには、証券会社での勤務経験や実務経験が必要なのか、何年間働いた経験があればよいのか、気になる人も多いようです。
2018年11月QUICK資産運用研究所の公表した「IFA実態調査」によると、IFAになる直前の経歴として1位証券会社42%、2位保険代理店12.5%、3位財務・会計事務所10%との結果になっています。やはり証券会社出身が多くを占めているようです。
出所:QUICK資産運用研究所、2018年9月実施の「IFA実態調査」をもとに株式会社モニクルフィナンシャル作成
重宝される資格は?優先順位は?
IFAになるために必要な資格は、証券外務員資格です。資格取得と同時に登録が必要となります。また重宝される資格としては以下の資格が挙げられます。
資格名 | 難易度 |
生命保険募集人 | ★☆☆ ※一般課程の場合 |
FP(ファイナンシャルプランナー)技能検定 | ★★☆ ※2級の場合 |
証券アナリスト(CMA) | ★★☆ |
DCプランナー(企業年金総合プランナー) | ★★★ |
内部管理責任者 | ★☆☆ |
宅地建物取引士 | ★★★ |
住宅ローンアドバイザー | ★☆☆ |
それぞれの資格の詳細については、関連記事を参考にしてください。
IFAとして成功するために必要な3つのスキル
IFAとして成功するために必要なスキルは何があるでしょうか。大きく分けると、顧客開拓、金融知識、提案力の3つが挙げられます。それぞれ解説していきます。
【成功するスキル1】顧客開拓
IFAは、顧客開拓が必要となることがほとんどです。独立する場合は、特に自身での顧客開拓力が売上に直結するため、必須のスキルと言えます。
最近では、顧客開拓をサポートするサービスもあるため、活用することもできますが、あくまでも顧客開拓する手段のひとつに過ぎません。
前職の顧客をそのまま引き継いで活動する人も見られますが、最近では顧客の持ち出しを禁止している会社もあると言われており、前職の顧客頼みでは活動を継続させることは難しいのが実情です。
【成功するスキル2】金融知識
IFAは、所属する特定の金融機関がないため、取り扱う金融商品に縛りはありません。そのため、自由に提案できることが大きな魅力です。ただ、同時に、金融商品への幅広い知識が必要となります。
投資信託などの有価証券のみを扱ってきた場合は、所属していた金融機関で取り扱う投資信託についての知識はあると思いますが、これまで自分が取り扱ってこなかった投資信託の知識もつける必要があります。また投資信託だけではなく、債券や株式、保険商品の知識も必要です。
これまで扱ったことがない商品については、基礎知識から学ぶ必要があり、その点で競合となる金融営業と同等の知識を得ることは難しいと思う人も多いことでしょう。
そのため、最近ではIFAの中では自分たちの立ち位置を決め、証券系や保険系など取り扱う分野を決め、得意でない分野でコンサルティングが必要な顧客を他の専門業者に送客をするケースもあるようです。
【成功するスキル3】提案力
提案力はIFAのスキルの中でも重要なスキルです。顧客開拓力と幅広い金融知識があったとしても、必ずしも販売できるとは限りません。それらとは、全く別のスキルが必要です。それぞれの商品をわかりやすく提案する力がなければ、契約にいたることはありません。
提案力は、相手のニーズをくみ取る力があってこそ発揮されます。顧客が求めている商品が本当に顧客の目的を果たすものなのか、真のニーズを捉えて幅広い商品の中から顧客に合うものを提案することが求められます。
「IFAを辞めたい」失敗する3つのパターン
IFAとして活動するために必要な3つのスキルを見ていきましたが、IFAとして独立した人の中でも、もくろみが甘く、IFAを辞めたいと感じる人もいるかと思います。どのような人が「IFAを辞めたい」と感じるのか、ここでは3つの失敗事例を紹介していきます。
【失敗パターン1】顧客開拓しない
前職からの顧客のみで売上を上げようと考えて、独立を考えることは控えたほうが良いでしょう。
顧客と長くお付き合いをすることは大切ですが、それだけでは毎月の売上をコンスタントに上げることは難しく、短期的な売買を繰り返すことで、売上を上げようと考えてしまう人もいるかもしれません。
顧客が求めている場合なら問題はないですが、求めていないにも関わらず短期的な売買を繰り返すと、顧客からの信頼を壊してしまうことにつながります。
前職からの顧客も大切にしつつ、常に顧客開拓をし続けるという姿勢がないと、IFAを継続していく中でつらい局面も出てきてしまうでしょう。
【失敗パターン2】業務委託の働き方が合わない
会社員として大きな売上を上げられるようになってくると、「独立したらもっと自分の収入を上げられるだろう」と夢を抱き独立を考える人もいるかもしれません。
ですが、会社員として活動することと独立して活動することは、大きく異なります。
会社が払ってくれていた諸経費や諸業務は、全て自分で処理しなければいけません。
例えば、お客様との打ち合わせに必要な交通費、飲食費、筆記用具などは、自己の経費として負担する必要があります。また、お客様との契約が成立した場合、会社では事務担当に依頼をすればあとは進めてくれたかもしれませんが、独立するとそれらも自分でこなさなければいけません。
そうした独立後の働き方が向いていなければ、「IFAを辞めたい」と考えるようになってしまうかもしれません。
IFAには独立だけではなく、正社員や契約社員としての働き方もありますので、独立する働き方に不安がある場合は、そのような雇用形態も視野に入れてみてください。
【失敗パターン3】スキルアップしない
IFAとして活動する場合、これまで扱ってきた商品知識のみで、その後スキルアップもせず、提案活動を行おうとすると難しいかもしれません。
会社に所属していた時と異なり、会社からマーケットの情報や商品の新情報などが提供してもらえることはないため、自分自身で情報を集め続けなくてはいけません。自分で情報を集め、スキルアップし続けることを楽しめないと、IFAとして独立するのは難しいでしょう。
IFAとして独立を考える人の中で、年収1000万円や年収1億円を目指すことができる高収入を魅力に感じている人は多いのではないでしょうか。IFAは本当に儲かるのか、それとも実は儲からないのか実態が気になるところでしょう。
厚生労働省の令和4年賃金構造基本統計調査によると、金融商品取引業・商品先物取引業の平均年収は957.5万円です。こちらはIFAのみの平均年収ではありませんが、目安として参考にしてください。
まとめにかえて
IFAは、顧客のニーズに合わせて自由に金融商品を提案できることが魅力です。ですが、独立するとなるとそれ以上に考えなければならないことが多くなるため、情報収集しメリットやデメリットを整理し、自身が独立して働くことをイメージしてみてください。
もし個人で独立することが合わないと思われる場合は、正社員や契約社員としてIFAで働くことができる会社もありますので、探してみると良いでしょう。
参考資料
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編集者/ライター
三石 由佳
監修
株式会社モニクルフィナンシャル 取締役
泉田 良輔 Ryosuke Izumida
愛媛県出身。慶應義塾大学卒業後、日本生命保険、フィデリティ投信で外国株式や日本株式のポートフォリオマネージャーや証券アナリストとして勤務。2018年11月に株式会社OneMile Partners(現:株式会社モニクルフィナンシャル)を共同設立し、取締役に就任(現任)。慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科修士課程修了。日本証券アナリスト協会認定アナリスト(CMA)。東京工業大学大学院非常勤講師。著書に「銀行はこれからどうなるのか」「Google vs トヨタ」「機関投資家だけが知っている『予想』のいらない株式投資法」他