IFAの平均年収が1000万円は本当か?年収で3000万円や1億円も目指せる職業かを考察
IFAの年齢別平均年収や報酬体系についても解説
最近、銀行や証券会社、保険会社で個人向け営業(リテール営業)として働く人々の中で、IFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー)が将来のキャリア選択肢として注目されています。
IFAは特定の金融機関に所属することなく、自分の実績に応じた報酬体系であれば、「年収に上限がないのではないか」と期待する人も多いことが背景でしょう。
今回は、IFAの年収は本当に上限がないのか、年収1000万円を超えるのか、また年収3000万円や1億円も目指すことができるのかなど、調査結果と合わせて解説していきます。
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IFAで年収1000万円は本当か?
IFAの年収は本当に1000万円や3000万円、人によっては1億円を目指すことができる職種なのでしょうか。
厚生労働省が運営する「職業情報提供サイト job tag(日本版O-NET)」によると、「独立系ファイナンシャル・アドバイザー(IFA)」の全国平均の年収水準は780.9万円、東京都で絞った場合は955.4万円となっています。
こうしてみると、地域差はあるものの、年収として1000万円に近い年収水準を目指すことができる職種であることがわかります。
IFAの平均年収はどのくらいか?年収の相場について解説
IFAの年収実態について、「職業情報提供サイト job tag(日本版O-NET)」の「独立系ファイナンシャル・アドバイザー(IFA)」を参考にしながら、詳しく見ていきましょう。
IFAの給与額水準はどのくらいか?
「所定内給与額別の人数割合」のグラフを参考にすると、特徴は以下の通りです。
- 月額の給与額40万円台がIFA全体の約17%
- 月額給与額として120万円以上を手にするIFAは約3%
給与水準に幅があるのは、IFAの雇用形態の違いによる報酬体系が影響していると考えられます。雇用形態の違いによる報酬体系については、「IFAの報酬体系は雇用形態により異なる」で説明していきます。
「所定内給与額」とは
労働契約等であらかじめ定められている支給条件、算定方法により6月分として支給された現金給与額(きまって支給する現金給与額)のうち、超過労働給与額(①時間外勤務手当、②深夜勤務手当、③休日出勤手当、④宿日直手当、⑤交替手当として支給される給与をいう。)を差し引いた額で、所得税等を控除する前の額をいう。
厚生労働省「令和3年賃金構造基本統計調査 結果の概況:主な用語の定義」より
IFAの年齢別の年収はどのくらい?
「年齢別の年収」グラフを参考にすると、特徴は以下の通りです。
- 最も年収が高い年齢は50~54歳で1086.19万円
- 次に年収が高い年齢は40~44歳で944.13万円
こうしてみると、年齢によっては、年収で1000万円に近い水準となっています。
IFAの求人賃金はどのくらい?
それでは、IFAの求人ではどのくらいの給与水準が一般的なのでしょうか。
ハローワークによる実際の求人賃金における全国平均月収は29万円で、東京都に絞った場合は月収25.8〜40.7万円と幅があることがわかります。
ここまで、実際の年収額について、調査結果を参考にしてきましたが、年齢や地域による差はあるものの、IFAは年収1000万円を目指すことができる職業であることがわかりました。
それでは給与額に幅がある原因は何か、何が報酬に影響しているのか、次の項目から見ていきましょう。
IFAの報酬体系は雇用形態により異なる
そもそもIFAの雇用形態はどのようなものがあるのでしょうか。それぞれの雇用形態と報酬体系、メリットやデメリットについて解説していきます。
IFAの雇用形態は大きく二種類に分かれる
IFAは一般的にどのような働き方をしている人が多いのでしょうか。
「職業情報提供サイト job tag(日本版O-NET)」における「独立系ファイナンシャル・アドバイザー(IFA)」に記載の労働条件についての記載を引用にてご紹介します。
労働条件は、勤務先の規定に従うが、雇用労働者として雇用される場合と個人事業主としてIFA法人に所属している場合がある。雇用労働者の場合は、IFA法人の正社員として雇用される場合が多く、月給制となっている。中には独立して個人で資産形成の専門家として活動している者もいる。なお、IFA法人は、一部を除き小規模な事業所が多く、転勤は無く、地元に密着して特定の顧客を長期間にわたり担当してサービスを提供することが多い。
「職業情報提供サイト job tag(日本版O-NET)」の「独立系ファイナンシャル・アドバイザー(IFA)」~労働条件の特徴~より
「職業情報提供サイト job tag(日本版O-NET)」の実態調査の「一般的な就業形態」(実際に働いている人が多いと感じる「就業形態」)によると、「正社員」が55.7%で約半数を占めており、次いで「自営、フリーランス」が36.1%でした。会社に属さない働き方の人も3割を超えていることがわかります。
正社員型IFAと業務委託型IFAを徹底比較 報酬体系の違いやメリット、デメリットは?
IFAには、大きく分けて正社員としての働き方と、業務委託としての働き方の二種類があります。雇用形態によって、報酬体系も異なりますし、それぞれにメリットとデメリットがあります。
ここからは、正社員型IFAと業務委託型IFAに分けて、報酬体系やメリットデメリットについて、ご紹介していきます。
会社により異なるところも多いですが、一般的なケースについてご紹介しますので、あくまでもひとつの参考情報としてご活用ください。
①報酬体系の違い
・正社員型IFA
正社員型IFAの報酬体系の多くは「固定給+賞与」です。
毎月の固定給が保証されている点が正社員型IFAの特徴です。他の報酬体系では、業績に応じて給与が大きく変動する場合もありますので、毎月の給与水準の安定を求める人が選ぶ働き方です。
業績に応じて賞与も支給されるため、安定した固定給だけではなく、業績も反映される点が魅力と言えます。
・業務委託型IFA
業務委託の報酬体系は、会社により大きく異なります。「固定給と賞与」「固定給と歩合制(コミッション)」「完全歩合制(フルコミッション)」の3パターンが多い印象です。
ここでは完全歩合制(以下フルコミッション)を例にご紹介します。
フルコミッションの場合は、自身の業績が直接報酬に反映するため、報酬がわかりやすくやりがいを感じる人もいることでしょう。
また業務委託は個人事業主としての働き方になるため、いつ働いても自由であり、勤務時間や勤務曜日や勤務場所など拘束がなく、自分自身でコントロールできる点も魅力と言えます。
②それぞれのメリットは?
・正社員型IFA
正社員雇用のメリットの1つは、社員として雇用されているため、収入が安定していることで安心して働くことができる点です。
また、社員として雇用されている場合には、他部署への異動ができるケースも多く、将来のキャリアパスを考えた場合、選択肢が広がっているところに魅力を感じる人もいるかもしれません。
中には、会社が顧客獲得を行う企業もあるため、提案業務に集中したいと考える人は選択することが多いでしょう。
・業務委託型IFA
フルコミッションの場合、報酬は手数料売上の5割以上を占めるケースもあるようです。
そのため、場合によっては高収入を期待することができ、年収1000万円超えを目指すこともできると言えるでしょう。
また、フルコミッションの場合、働き方に制約のない場合が多いため、自由な働き方を実現できる点がメリットと言えます。
③それぞれのデメリットは?
・正社員型IFA
正社員のデメリットの1つは、完全に業績に応じた報酬体系ではないため、高い業績を上げた場合に、報酬として反映される還元率が低いことです。
IFAの働き方を好む人の中には、報酬が青天井であることにメリットを感じる人もいるため、この点については好みが大きく分かれることになりそうです。
また、正社員として組織のルールを優先せざるを得ない点も考えられます。しかし、組織に属している以上、その点は避けられません。
・業務委託型IFA
フルコミッションの場合、営業に関わる経費も全て含めて自分で稼がなくてはなりません。したがって、「報酬=利益」に当たらない点がデメリットと言えるでしょう。
また新規顧客獲得が必要となるため、自分自身で試行錯誤する必要がありますが、これまでの金融営業でうまくいっていたとしても、会社名を使うことができないことで顧客開拓がうまくいかなくなってしまう人もいるようです。
新規顧客獲得のため、顧客対応のために土日や祝祭日にアポイントメントを入れることが多くなり、どうしても週末や祝日などの稼働が多くなってしまいます。
また業績が報酬に直接反映されることから、業績が良いときは高収入を期待できますが、業績が芳しくない場合、収入が大きく落ち込んでしまうことがあり、その点がデメリットと言えるでしょう。
- IFAとして仕事をする場合
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IFAとして仕事をする場合、IFA法人と業務委託契約を結ぶ人は多いかもしれません。
しかし、最近は正社員や契約社員としてIFA法人で働く方法も増えています。
おわりに
IFAの年収は、雇用形態により異なることがわかりました。
正社員IFA、業務委託IFAにはそれぞれメリットデメリットがあります。
- 月額の報酬は安定した方が良いか、それとも業績がダイレクトに反映されたほうが良いか
- 働く時間や場所が決まっていて、休日とのメリハリをつけられる方が良いか、それとも働く時間や場所を決めず、自分で自由にコントロールできるほうが良いか
- ライフステージの変化とともにIFA以外の働き方を選ぶことができるか、それともキャリア形成については自身で考え構築していくほうが良いか
こうした点を検討し、自分自身の価値観に合う働き方を検討してみるのも良いかもしれません。
IFAについて詳しく知りたい場合は、関連記事を参考にしてください。
参考資料
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三石 由佳 Yuka Mitsuishi
2級ファイナンシャル・プランニング技能士(FP2級)。中央大学文学部社会学科卒業後、株式会社サイバーエージェントにて大手金融機関向けデジタルマーケティング戦略の立案及び営業を担当。その後、みずほ銀行にて確定拠出年金に関する講師やフィンテック企業にて広報を担当。現在は株式会社モニクルフィナンシャル・コーポレートブランディング室所属。
監修
株式会社モニクルフィナンシャル 取締役
泉田 良輔 Ryosuke Izumida
愛媛県出身。慶應義塾大学卒業後、日本生命保険、フィデリティ投信で外国株式や日本株式のポートフォリオマネージャーや証券アナリストとして勤務。2018年11月に株式会社OneMile Partners(現:株式会社モニクルフィナンシャル)を共同設立し、取締役に就任(現任)。慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科修士課程修了。日本証券アナリスト協会認定アナリスト(CMA)。東京工業大学大学院非常勤講師。著書に「銀行はこれからどうなるのか」「Google vs トヨタ」「機関投資家だけが知っている『予想』のいらない株式投資法」他