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新NISAははじまりにすぎない! 金融営業の”あるべき姿”とは
証券営業・保険営業としての限界、避けらない「IFA化」

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株式会社モニクルフィナンシャルは、「金融の力で、安心を届ける。」をミッションとし、はたらく世代の資産形成のサポートや幅広い世代向けに資産運用アドバイスを行っています。中でもお金の診断・相談サービス「マネイロ」は、学び、診断、相談まで一気通貫した資産運用プラットフォームで、15万人以上にサービスを提供しています。(学び・診断・相談サービスの累計利用者数/2024年5月時点)

当社は特定の金融グループに所属しないため、当社で勤務するFAは「IFA(Independent Financial Advisor、独立系ファイナンシャルアドバイザー)」とも呼ばれます。FA全員が証券外務員資格と保険募集人資格を保有し、正社員として勤務しています。

今回は、モニクルフィナンシャルの取締役である泉田良輔に、金融営業のあるべき姿について、話を聞きました。

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株式会社モニクルフィナンシャル
取締役 コーポレート戦略担当

泉田良輔 Ryosuke Izumida

愛媛県出身。慶應義塾大学卒業後、日本生命保険、フィデリティ投信で外国株式や日本株式のポートフォリオマネージャーや証券アナリストとして勤務。2013年3月、株式会社ナビゲータープラットフォーム(現:株式会社モニクルリサーチ)を共同設立し、取締役に就任(現在は代表取締役)。2018年11月、株式会社OneMile Partners(現:株式会社モニクルフィナンシャル)を共同設立し、取締役に就任。2021年10月、ナビゲータープラットフォームとOneMile Partnersの親会社として、株式会社モニクルを設立し、取締役に就任。

つみたてNISAがきっかけ! 資産形成・資産運用市場で生じた地殻変動

2024年1月から「新しいNISA(新NISA)」がはじまりました。現在の資産形成や資産運用市場についてどのように見ていますか。

2024年から「一般NISA」や「つみたてNISA」が新NISAに移行し、非課税期間が無期限となったことは大きな変化です。

しかし、実際には、日本の資産形成や資産運用を取り巻く環境はもっと前から変化していました。

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どういうことでしょうか。

2014年に、「一般NISA(当時は単にNISAとよばれた)」がスタートしました。2018年に「つみたてNISA」が始まるまでは、一般NISAの口座開設数は約1000万口座を超えたあたりがピークでした。

富裕層も「一般NISA」の非課税メリットを受けたいと考え、当時ほとんどの方が一般NISA口座を開設していたと仮定すれば、当時の日本の証券投資人口はおよそ1000万人程度だったといえます。

しかし、2018年に「つみたてNISA」の制度がスタートすると、その様相が変わります。下図を見ていただくとすぐにお分かりになるかと思いますが、「つみたてNISA」の登場で口座開設のペースが一気に加速します。

その結果、2023年12月末時点で、「一般NISA」と「つみたてNISA」の口座開設数はほぼ同じ規模となり、「一般NISA」及び「つみたてNISA」の口座数の合計は2000万を超えることになりました。

こうしてみると、2018年から2023年の6年間で、証券投資人口は1000万人から2000万人に拡大したといえるでしょう。このきっかけは、間違いなく「つみたてNISA」 だったわけです。

「つみたてNISA」をきっかけにして、証券投資人口が大幅に増加したということですね。

証券業界は、これまで「貯蓄から投資へ」というフレーズを何十年もうたってきました。しかし、なかなか投資へと動かない預貯金を「岩盤預金」と呼ぶほど、預貯金から有価証券投資への移行は生じませんでした。

ところが、「つみたてNISA」では、「非課税枠」と「つみたて投資」という要素が掛け合わさることで、「貯蓄から投資」を実現することができたわけです。これは、日本の証券投資市場に対する「地殻変動」といっても過言ではありません。私も長く資産運用業界にいましたが、驚くべきことだと思います。

このように証券投資人口が倍増したわけですが、証券投資市場への参加の目的は大きく2つに分けられると考えています。いわゆる「資産形成」目的と、「資産運用」目的の2種類です。

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「資産形成」と「資産運用」は何が違うのか

「資産形成」と「資産運用」は、非常に似ている言葉ですが、それぞれどのような意味なのでしょうか。

資産形成とは、投資家が将来資金を準備するために行うことです。今、手元には大きな資金はないけれども、将来に必要となるであろうお金について金融商品を活用し、資金準備を考えることです。投資家は株式や投資信託といった金融商品で十分なリスクを取り、毎月の収入の中から継続的に投資をすることが主な方法となります。つみたてNISAでは、この考え方がうまくはまり、いわゆる「資産形成層」が大きく増えたといえます。

一方、資産運用というのは、投資家が現状保有している資産に対して対応することを指します。今、手元にあるお金について、さまざまな金融商品を検討し、活用することを考えることが、資産運用なのです。投資家が高齢になれば、リスクを大きく取りながら資産を増やすということは必ずしも目的にはなりません。リスクを考慮しながら、債券や保険など安定的な金融商品を選択することもあります。つみたてNISAの登場によって資産形成の存在感が高まるまでは、「資産運用層」が証券投資市場の大半を占めていたともいえるでしょう。

このように、一口に投資といっても、投資家の状況によって、資産形成であるのか、または資産運用であるのかが異なります。

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年齢によって、投資の目的は資産形成か資産運用か変わってくるのでしょうか。

資産形成か資産運用かの違いは、今「手元に資産があるかどうか」の違いです。したがって、年齢できれいに分けられないと思っています。若くても資産がある人もいるでしょうし、もしかしたら定年前でも老後に向けて十分な資産がなくて不安だという方もいるかと思います。

ただ、年齢であえて分けるとすれば、20代から40代くらいまでのはたらく世代の多くは資産形成層でしょうし、定年退職前後で資産がある世代、シニア世代は資産運用層であると言えるのではないかと思います。

では、今後も資産形成層と資産運用層はそれぞれ別個に存在していくのでしょうか。

そうではないと思っています。

今後もはたらく世代となった若い世代は資産形成層となるでしょうが、現在資産形成層の方が今後もずっと資産形成層であるとは限りません。

資産形成層も資産が増え、含み益も増えてくると、それらを売却したり、その資産を活用して資産運用をしたいと考えることもあるでしょう。そうなると、資産形成層が資産運用層に転換することになります。

こうした流れは継続的に続くことになるので、時間とともに日本の資産運用層は拡大していくと考えています。そのスピードは資産形成層が増えるよりも大きくなるのではないかと考えています。

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「業種縦割り金融営業」の限界と顧客ニーズとのミスマッチ

投資家の内容が変化する中で、金融業界は対応できているのでしょうか。

金融機関は相変わらず「強み伝い」の営業をしているのが実態です。

証券会社であれば投資信託や債券、保険会社であれば自社の保険商品の営業に注力しています。経営として考えれば、金融機関が自分たちの得意分野に特化して営業するのは当然です。

一方、こうした動きが顧客ニーズにマッチしているかどうかというと、話は異なります。

たとえば、はたらく世代のニーズが「資産形成に必要なアドバイスが欲しい」「資産形成に必要な金融商品を教えてほしい」だとします。これは、金融商品ありきのニーズではありません。

「自分たちの課題を解決してほしい」というのが目的であり、金融商品はその課題を解決するための道具でしかありません。

そうとなると、金融機関が得意としている営業スタイルとずれてしまうのが実際のところではないでしょうか。

では、証券会社の営業(証券営業)にあって、証券営業に足りないものはなんでしょうか。

証券会社の営業は、投資信託や債券についての個別商品の提案はできています。したがって、はたらく世代の資産形成層、資産運用層のお客様がいらしたときに、新NISAの活用も含めて、個別具体的な提案はできると思います。

一方で、欠けているのが”金融商品全体を俯瞰した提案”だと思います。大手証券会社の顧客層がシニア層だとすれば、基本的には資産運用層への提案内容でも良いでしょう。しかし、将来を見据えて相続などの対策も金融商品を活用して行うことが必要となる人もいます。その場合には、保険等を活用する選択肢もあるので、有価証券だけではなく、保険も知っておく方が顧客ニーズを満たすといえるでしょう。

続いて、保険営業にあって、保険営業に足りないものはなんでしょうか。

保険営業は、昨今の資産形成・資産運用ニーズの盛り上がりにより、証券営業よりも課題を抱えているのではないでしょうか。

つみたてNISAの登場以降、はたらく世代の資産形成層に対して、投資信託を含めた有価証券の提案ができないと、話さえ聞いてもらえないという状況が続いているかと思います。

投資信託に関しては、外務員資格(証券外務員資格)を保有していないと、個別具体的な金融商品の推奨や販売行為そのものが行えません。資産形成や資産運用ニーズが高まっている中、新NISAや投資信託に関して、一切触れずに提案を行うというのも難しいと思います。

保険営業を中心に提案を行っている方でも、外務員資格を取得し、IFA化していくことが避けられないと思います。

金融業界に起きている地殻変動と未来予想図

ここまで、投資家層の変化、金融営業を取り巻く状況についてお話をお伺いしました。今後、金融業界はどうなっていくのでしょうか。

私の未来予想図をお話しするのにあたり、”2x2”のマトリックスで考えてみましょう。その中で、横軸に「プラットフォーム型」を右、「カスタマイズ型」を左にとります。また、縦軸に「資産形成ニーズ」を上に、「資産運用ニーズ」を下にとります。

第1象限(右上)は「プラットフォーム型」で「資産形成ニーズ」のお客様として分類できます。これがいま証券プラットフォームであるネット証券を利用して、2018年以降資産形成を始めた「資産形成に目覚めた資産形成の初心者」となります。

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では、今後は第1象限に該当する人が増えていくのでしょうか。

そうですね新NISAもはじまったので、今後も第1象限は大きくなっていくでしょう。はたらく世代の30歳代でも、NISA口座の普及率は3割にも達していません。新NISAになり、制度を活用した非課税期間が無期限となったので、今後もこの普及率が上がってくるというのは期待できますよね。

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ただ、先ほどもお話ししたように、はたらく世代がいつまでも「資産形成層」かというとそうではないと思います。資産形成層がある程度の資産を持つようになると、毎月のつみたて投資では物足りず、「資産運用」のニーズが強くなり、インデックスファンド以外の金融商品に興味が出てくるようになるかと思います。まさに「資産形成層」の「資産運用層」への転換です。

そうした場合には、金融プロフェッショナルによる投資家の保有資産状況に応じた「カスタマイズ型」の提案を好むようになると思います。そうなると、投資家が「第1象限」から「第3象限」(左下)にシフトしていく流れになると思います。

現在の第3象限の投資家は富裕層なんでしょうか。

はい、現在はシニア層を中心とした富裕層が第3象限の投資家かと思います。そして、第3象限では、メガバンク、大手証券会社、不動産会社や独立系IFAがメインのプレーヤーとなっています。今後、この第3象限に、はたらく世代の「資産運用層」が流れ込んでいくと思います。

第3象限にはたらく世代の資産運用層が増えてくると、金融営業はどのように対応すればよいのでしょうか。

これまでのシニア層向けの営業は通用しなくなるでしょう。これまでの第3象限は、証券会社やIFAなら顧客の現金を活用した有価証券の投資アドバイス、不動産会社は顧客の遊休不動産の活用提案というように、それぞれの企業のバックグラウンドを背景に提案をしてきたと思います。”老後資金に困らない”、また”相続対策としての節税を意識した資産運用”などがポイントであったでしょう。

しかし、はたらく世代の資産運用層は、資産形成層から資産運用層に転換したといっても、まだまだ老後に向けてしっかり準備をしておきたいという方が多いでしょう。したがって、総合的な提案が必要になってくるとともに、これまでの第3象限の金融機関や不動産会社のプレーヤーによる営業スタイル、つまり各企業の強み伝いの金融商品の提案だけだと課題解決につながらなくなってくると思います。

第3象限においては、さまざまなニーズと幅広い金融商品を組み合わせることで最適な提案ができる金融営業、つまりIFAが必要になってくると思います。

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金融業界を突き動かすのは「ニーズ喚起が必要な資産形成初心者」

今後、重要になってくるのは、どの象限でしょうか。

今後の日本の資産形成層を考えるうえで重要となってくるのが、「第2象限」(左上)です。

第2象限は、「資産形成ニーズ」がありながら、金融機関とのこれまでの付き合い方は「カスタマイズ型」という投資家層です。この層は、投資に興味はあるものの、ネット証券での口座開設も済んでいない、いわゆる預貯金や生命保険が資産の中心という層です。

過去を振り返ると、2001年に確定拠出年金制度がスタートしました。また、少額投資非課税制度としては、2014年にはNISA(一般NISA)がはじまり、2018年にはつみたてNISA、そして2024年には新NISAと続いてきたのはこれまで見てきた通りです。こうしてみると、つみたて投資をサポートする制度が登場して既に20年近い歴史があります。

しかし、これまで見てきたように、はたらく世代でもNISAの普及率はまだ3割にも達していません。他の世代も同じような状況です。

たとえば、新NISAは「とりあえず口座開設はしておいてもよさそう」と思える制度ですが、いまだに口座開設もしていない人のほうが多い現状には、投資を始めるにあたって金融リテラシーの不足も大きく関わっていると思います。実際に、2024年4月には、国から金融経済教育推進機構(J-FLEC)の立ち上げも発表されたように、金融教育の必要性が叫ばれています。

今後、「第2象限」の層を突き動かすのは、メディアなどを通じた金融リテラシーの向上、またITリテラシーが十分でなくても簡単に始められる金融サービスがカギとなってきます。

したがって、今後の金融営業もメディアで情報発信を積極的に行ったり、ITを駆使して提案を行える人材への引き合いが強まってくると予想できます。

最後に、今後金融営業はどうあるべきか、泉田さんの考えをお聞かせください。

ここまでお話をさせていただいたように、つみたてNISAをきっかけとして資産形成層が生まれ、今後時間とともに資産運用層が拡大していく転換点に私たちは立っています。その資産運用層はこれまでのシニア層や富裕層ばかりではなく、はたらく世代の将来資金をしっかり作っておきたい層の比率が高まってくることが予想されます。

そうした投資家層の変化の中においては、金融営業もこれまでの営業としての「勝ちパターン」が通用してこなくなる場面も増えてくると思います。

投資家層のニーズの変化にあわせて提案の幅を広げることが必要でしょうし、はたらく世代の顧客層ともなれば昨今のネットでの情報量を考慮すると、営業以上に情報を収集する投資家も増えてくることもあるでしょう。その中で金融営業の付加価値を出そうと思うと、金融商品ごとに深い理解のための日々の勉強は欠かせません。

日本経済が更に成熟していく中で、製造業などは今後も苦しい場面が続いていくことはあるでしょうが、欧州の先進国の例や日本の金融資産の規模を考えても、金融業は確実に残ります。その中で、どのように金融営業として活躍できるかは、産業と顧客層の未来を予想したうえで、どれだけ準備ができているかにかかっています。

ありがとうございました!

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