証券会社の営業に必要な資格とは?元証券マンおすすめの資格を難易度別でご紹介
成功するために有利な資格を一覧で確認しよう
証券営業として活動するうえで、必要となる資格にはどのようなものがあるか、気になる人も多いのではないでしょうか。
必要不可欠な資格は、「外務員資格(いわゆる証券外務員資格)」ですが、その他にも実務を行う上で、いかせる資格もいくつかあります。
この記事では、証券業界で活動するために必要な資格はあるのか、また保有しておいたほうが役に立つ資格はあるのかについて、元証券マンから聞いたリアルな情報をまとめていきます。
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証券営業に必要な資格とは何か、大学生も取得可能か
証券営業として活動するうえで取得必須の資格を、取得試験の平均合格率を元に難易度も合わせてここでは紹介していきます。
証券外務員資格(難易度★☆☆)
証券外務員資格とは日本証券業協会が運営する資格制度です。顧客に対して金融商品の販売・勧誘等を行う際の資質を確保するために設けられているものです。
証券外務員資格は、一種外務員資格と二種外務員資格に分かれています。二種と比較して一種は取り扱うことのできる金融商品の幅が広がります。
資格試験の合格率は一種、二種ともに約70%前後といわれており、比較的難易度は低い資格です。
難易度が低いことから、証券会社に内定が決まった大学生が、入社までの間に取得することを命じられることもあります。
生命保険募集人 一般課程・専門課程・変額保険販売資格(難易度★☆☆)
生命保険を取り扱う証券会社の場合、生命保険募集人一般課程と専門課程・変額保険販売資格の取得も必須となります。
生命保険募集人資格とは、生命保険を販売するために必要な資格です。生命保険募集人資格には全部で下記の4課程と2資格の合計6種類あります。
- 一般課程
- 専門課程
- 応用課程
- 生命保険大学課程
- 変額保険販売資格
- 外貨建保険販売資格
生命保険募集人(代理店)として働くには、「一般課程試験」に合格し、代理店登録や募集人届出をする必要があります。
一般課程は、生命保険の基礎知識を修得することを目的としています。合格率は約80%以上といわれており、比較的難易度は低い資格です。
変額課程は、変額保険の販売に必要な知識の修得を目的としています。一般課程に合格し生命保険募集人としての登録があり、さらに専門課程試験に合格していることが受講の条件となります。
変額保険販売資格を取得すると変額保険(貯蓄性保険商品)の販売が可能となります。
これら資格試験は合格率は約80%以上といわれており、比較的難易度は低い資格です。
証券営業が取得検討すべき資格一覧
ここからは、証券営業として活躍するために必須ではないものの実務で活かすことができた資格について、ご紹介してきます。取得すべき資格について悩んでいる人は参考にしてください。
FP(ファイナンシャルプランナー)技能士(難易度★★☆ ※2級の場合)
FP資格では、資産運用・保険などの金融商品の他に、不動産・税金・ライフプランニング・相続など金融全般の専門知識を習得することができます。
FP資格には、国家資格の「1〜3級FP技能士」と民間資格の「AFP・CFP」があります。FP技能士であれば2級以上、民間資格はAFP以上であれば実務に効果的でしょう。
合格率は3級で約70%、2級で約50%、1級だと約10%と、1級になると一気に難易度が上がります。3級は難易度が低く、2級は中程度、1級は難易度が高いと言えます。
証券会社のお客様は60代~80代の方が多いので、相続や贈与、不動産の売却などの話題が頻繁に上がります。
有価証券では相続対策は難しいため、直接的に相続のサポートはできませんが、FP資格があることで一般的なことはお伝えすることができます。資産運用に加えて相続も相談できるということで、営業マンとしての付加価値が付くことでしょう。
外貨建保険販売資格(難易度★☆☆)
外貨建保険の販売に必要な業務知識や苦情削減に資するコンプライアンス・リテラシーの向上を目的としています。こちらもすでに生命保険募集人としての登録があり、「専門課程試験」に合格していることが受講の条件となります。
外貨建保険販売資格を取得すると外貨建保険商品(貯蓄性保険商品)の販売が可能となります。変額保険販売資格試験同様に合格率は約80%以上といわれており、比較的難易度は低い資格です。
新NISA導入をきっかけとして投資への興味関心が高まる中、同じく貯蓄性商品である変額保険や外貨建保険は関連性が深く、提案する機会が多いことでしょう。
証券営業がお客様のために取得する意外な資格とは
担当するお客様に、より深い提案をするために、以下の資格を取得する証券営業もいるようです。実務に直接関係しないため意外だと思われるかもしれません。
宅地建物取引士(宅建)(難易度★★★)
宅地建物取引士は、不動産取引における重要事項の説明を行うために必要な資格です。
実際に証券営業で不動産取引をすることはありませんが、お客様から相続や不動産売却の相談を受けることは多いため、最低限の知識をもっていることで、より強固な信頼関係の構築ができるでしょう。
合格率は約15%と難易度が高い資格です。
相続診断士(難易度★☆☆)
相続診断士資格とは、遺言書やエンディングノートの作成など相続に関する基本的な知識を身に着け相続診断が出来るようになるものです。
相談内容を元に、司法書士や弁護士、所属している金融機関の専門部署に橋渡しをする役割を担います。
証券会社のお客様は、相続について悩まれている方が比較的多いです。そのため、他の証券営業との差別化ができるという点で取得する人が多いようです。
合格率は約90%以上と難易度が低い資格です。
証券会社の社員であれば持っておきたい資格
最後に、証券リテール営業では必要な状況は限られますが、証券会社で働く社員であれば持っておきたい資格を紹介します。
証券アナリスト(CMA)(難易度★★★)
証券アナリストとは、公益社団法人日本証券アナリスト協会が運営する「日本証券アナリスト協会認定アナリスト(CMA)」のことを指します。
主に証券アナリストを目指す人が取得する資格ではあるものの、取得する過程では金融のプロとして必要な投資価値の分析評価を行うためのスキルを学ぶことができます。お客様に提案する証券の分析や市場・経済の分析ができれば、リテール営業としてもより根拠のある信頼性の高い提案につながるでしょう。
第1次レベルと第2次レベルの両方の講座を受講し、試験に合格した上で、3年間の実務経験のある人がCMAとして認定されます。
試験は両方とも合格率は約50%ですが、受験資格や資格取得までのステップの多さを加味して難易度は高いと考えたほうが良いでしょう。
米国証券アナリスト(CFA)(難易度★★★)
米国証券アナリスト(CFA)とは、世界的に広く認知されている金融系資格であり、その高い権威性から金融業界の「グローバルパスポート」とも言われています。高度な金融知識を求められるだけでなく、すべて英語で出題されることが特徴的です。
海外の金融機関ではCFAの取得が必須であるところも多く、取得することで国内外問わずキャリアの選択肢が一気に広がります。
試験にはLevel1〜3があり、全て英語で実施されます。Level1合格後Level2の受験が可能となり、Level2合格後Level3の受験が可能となります。Level3に合格することで資格取得となります。
合格率は40%弱ですが、資格取得までのステップの多さや英語で試験を行うことなどを加味して難易度は高いと考えたほうが良いでしょう。
TOEIC (難易度★☆☆)
英語のコミュニケーション能力を判定する世界160カ国で実施されている世界共通の基準テストです。
海外のマーケット情報や経済状況を調査する際に文献やレポートが英語表記のものも多く、より幅広い知識の獲得に活かすことができます。
一般財団法人 国際ビジネスコミュニケーション協会による2024年のTOEICスコア調査では、受験者の平均スコアは612点で、金融業界勤務者の平均スコアは613点です。
このことから、金融業界のプロフェッショナルが一般的な英語力を持っていることがわかります。
おわりに
証券営業として活動するためにどのような資格が必要なのかを見てきました。
実務に活かすことができる資格だけでなく、お客様との信頼関係を築くために、有価証券や保険以外の資格取得をする証券営業が多いこともわかりました。
より活躍する機会を増やす、自身のキャリアの選択肢を増やすためにも新たな資格の取得を検討してみてはいかがでしょうか。
金融営業は、専門知識を扱う職種であるため、資格取得が多いと感じる人も多いことでしょう。しかし、その分営業職としてスキルアップできる、と捉えることができるのではないでしょうか。
証券会社以外の金融営業ではどのような資格が必要になるのか、気になる人は関連記事を参考にしてください。
金融営業が取得しておきたい資格とは
金融営業が取得しておきたい資格の記事をご紹介します。参考にしてください。
参考資料
- 一般社団法人生命保険協会「営業職員・代理店の教育制度」
- 一般社団法人生命保険協会「業界共通教育課程」
- 一般財団法人 国際ビジネスコミュニケーション協会「TOEIC Program DATA & ANALYSIS 2024」
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編集者/ライター
三石 由佳 Yuka Mitsuishi
2級ファイナンシャル・プランニング技能士(FP2級)。中央大学文学部社会学科卒業後、株式会社サイバーエージェントにて大手金融機関向けデジタルマーケティング戦略の立案及び営業を担当。その後、みずほ銀行にて確定拠出年金に関する講師やフィンテック企業にて広報を担当。現在は、くらしとお金の経済メディア「LIMO(リーモ)」にて執筆も担当。
監修
株式会社モニクルフィナンシャル 取締役
泉田 良輔 Ryosuke Izumida
愛媛県出身。慶應義塾大学卒業後、日本生命保険、フィデリティ投信で外国株式や日本株式のポートフォリオマネージャーや証券アナリストとして勤務。2018年11月に株式会社OneMile Partners(現:株式会社モニクルフィナンシャル)を共同設立し、取締役に就任(現任)。慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科修士課程修了。日本証券アナリスト協会認定アナリスト(CMA)。東京工業大学大学院非常勤講師。著書に「銀行はこれからどうなるのか」「Google vs トヨタ」「機関投資家だけが知っている『予想』のいらない株式投資法」他